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1834年、イングランド・デヴォンシャー地方の地層の同定をめぐるヘンリー・デ・ラ・ビーチとロデリック・マーチソンの対立に始まり、やがて英仏を中心とした地質学者たちを巻き込んで展開された「デヴォン紀論争」。その約10年にわたる論争を、当事者の日誌や書簡、論考や雑誌記事等の一次資料に基づいて細部まで追跡し、時系列の物語的叙述によって新たな科学知識形成の過程を再構成する。
「科学知識が形成される過程をより充分に理解するために必要なのは、つくられつつある――過去においてか現在においてかはさほど重要ではない――科学の経験的研究である。それが焦点を合わせるのは、ひとりの個人的な科学者ではなく、ある個人の集団を、相互作用する交流のネットワークへ呼び集める、特定の科学的問題である。このような研究は、その貢献度がいかに少なく見えようとも、すべての当事者の役割に注意を払い、公的および私的な、公式および非公式の、儀礼的および自発的な、あらゆる交流に同様の関心をもって相互作用の力学を追跡しなければならない。そして何よりもギルバート・ライルの「厚い記述」に類似した何かによって、科学研究という社会的ドラマの、当事者自身にとっての意味を見きわめようとしなければならない。…本書は相互作用する社会集団の活動と見なされた科学研究の、経験的探究に貢献するものである。それはまず第一に、デヴォン紀論争によって引き起こされた問題と格闘する19世紀の地質学者の肩越しに見て、彼らがいったい何をしようとしていたかを突きとめる試みである。」(第1章より)
科学史の大著、待望の邦訳。
「科学とその歴史を理解するうえでは欠かすことのできない、今世紀を代表する一冊となりうるドキュメント」――スティーヴン・J・グールド
「科学概念の発展と科学者共同体の相関について説得的に、詳細に、ほとんど日毎に追究し、記録した本」――トーマス・S・クーン
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