取り寄せ不可
作家・北村薫が、父の死後に遺されていた膨大な日記を考証、再生。
ミステリ作家・本の達人としての腕を存分にふるい、無名の一青年の目を通して、大正から昭和初期にかけての時代を愛惜込めて甦らせた三部作の完結編。
ドイツではヒトラー内閣が成立し、三月には東北三陸地方に大津波が押し寄せた昭和8年、父は慶応義塾大学を卒業するが、不景気の波が押し寄せる時代に就職口はない。出版社の試験にも不合格になり、大学院に進むものの家の経済は苦しく、定期を買う金もない。師事する折口信夫から満足な評価を得る事もできず、国文学への情熱も断ち切るしかないのかと懊悩しながら東京、横浜をさまよう父。
一方、文学史上の有名人物と折口信夫が敵対し、批判しあった数々の事件の真相に迫る著者の筆はスリリングかつ感動的。
文献、日記、関係者の随筆に散見される該当箇所を読み解き、つき合わせることで、折口信夫の底知れぬ大きさと怖さ、師弟関係に潜む複雑な感情、国文学に生涯をかける人々の熱情と嫉妬があぶりだされる。
横山重、佐佐木信綱、池田弥三郎、父、学友たち-ー
あの時代を歩んだ有名・無名の人々の姿を捉える、感動の昭和史。 解説・桂島浩輔
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