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景気低迷期などの経済環境下では、その有する資産が含み損を抱え、損失処理に苦慮している企業が多くあります。企業利益や課税所得に与える影響はもとより、企業のディスクロージャーの観点からも、投資家などに誤った情報を提供しかねないという問題もあり、資産が抱える含み損の処理について、税務上は、低価法や時価法の適用、評価損の計上などが行われています。また、その含み損を顕在化させる最も確実な方法はその資産の譲渡ですが、含み損の処理について、企業会計と法人税の考え方や処理方法は必ずしも一致しないため、税務処理は難易度が高いといわれています。それにもまして、低価法や時価法の適用、評価損の計上をする場合には、その適用事由に該当の有無や期末時価の算定が決定的に重要です。しかし、これらの点を一義的、形式的に決定することは容易でなく、各事案に則して個別に検討するほかないため、税理士等にとっても関心は高いものの難解な問題となっています。そこで本書では、何らかの基本的な考え方や基準、拠り所が欲しいという要望に応えて、個別の事例に則しながら、いくつかの資産の評価損をめぐる税務事例を取り上げて具体的に検討し、その検討を通じて、できるだけ一般化、普遍化できるよう解説をしています。今版では、新型コロナ感染症拡大による影響を受け、資産の評価損を抱える場合に、どのような対応が可能かを事例を通して解説しています。
・新型コロナウイルス感染症による打撃を受けている法人の資産に対する評価損の問題を新たに採り上げ、具体的な事例に即して解説。
・令和元年「時価の算定に関する会計基準」の制定に伴い、整備された令和2年度税制改正を反映。
・100問100答による具体的事例を、①評価損の適用要件等 ②金銭債権の評価損 ③棚卸資産の評価損 ④有価証券の評価損 ⑤固定資産の評価損 ⑥繰延資産の評価損 と6つのカテゴリーに整理して、解説。
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