本書は,高校で物理を履修していない人のために題材の配列や解説に工夫を加えた,学部1年生向けの力学の演習書である。
具体的には,1次元の運動から始めて,運動方程式と仕事・エネルギーを含む最小構成で力学の考え方を一通り示した後,ベクトルを用いて3次元の運動を記述する構成となっている。微分・積分とベクトルを同時に導入することを避けたことで,初学者が物理的な概念の理解に専念できるよう配慮している。また,大学初年次の力学の一つの到達点となるケプラー問題までを,なるべく抽象的な概念を用いず,平易かつ具体的な問題を通して最短コースで学習できる。運動量や角運動量などの抽象的な概念は終盤で初めて登場するが,ここでも2つの物体の衝突や,固定軸回りの回転などの具体的な問題が解けることに主眼を置き,高校数学で扱わない行列やベクトルの外積を用いない記述がなされている。
このような多段的な構成によって初学者にとってのハードルを下げ,高校物理未履修者はもちろん,既修者にとってもスムーズに大学の力学に親しめるよう工夫されている。
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