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中国史に重要な位置を占め、日本とも関係浅からざる洛陽。この地で展開した政治、都城、宗教などの諸問題から中国史を問い直す。日本・中国の総勢16名の最新成果を収録し、「洛陽学」を提唱する画期的論集。
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なぜ長安学にたいし洛陽学が必要か。改めていうまでもなく、隋唐時代までの中国史では、長安(関中盆地)と洛陽(洛陽盆地)がほぼ常に中心を占め、両地はいわば車の両輪のごとく機能し、ときには首都(主都)と副都という関係をとりあった。なぜそのような関係が必要であったか。それに踏み込むことは中国史の本質にかかわる大問題になるが、ともあれ両地・両都は分かちがたくつながっていた。にもかかわらず、長安を基軸に歴史が語られることがあっても、洛陽に基軸を置いて中国史を捉える問題関心が薄い。とりわけ隋唐史になるとその傾向が強まる。それでよいか。洛陽から見える風景、そこから浮上する国家(王朝)の姿は、長安からのものと違ってよい。私たちは時代や国家のあり方を一元的に捉えすぎていなかったか。そうした視点に立つならば、洛陽学が問うべき領域は決して単なる一地方史には止まらないのである。
(《序論》より)
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【目次】
《序論》隋唐洛陽学の意義と課題[氣賀澤保規]
第Ⅰ部 政治社会史上の洛陽
北魏の洛陽遷都と孝文帝の改革――改革の中国史上に占める位置をめぐって――[川本芳昭]
北魏洛陽における権貴勢家第宅の奢侈の風と孝文帝の遷都改革[夏 炎]
煬帝大業十一年の洛陽大朝会とその背景――隋末政治史の一側面――[氣賀澤保規]
複都制再考――八世紀日本の造都と天皇権から考える――[佐藤文子]
安史の乱における突厥王族阿史那氏の動向――洛陽出土「大燕阿史那明義墓誌」とその関連資料を中心に――[速水 大]
「党争」の残照――李徳裕の洛陽帰葬とその周辺――[竹内洋介]
隋・唐・五代洛陽宮の政治空間について[松本保宣]
墓誌からみる唐代洛陽の万安山[毛 陽光]
第Ⅱ部 宗教空間からの洛陽世界
寺院・摩崖・石窟の位置からみた交通路――北朝後期?隋代、洛陽より東南へ――[北村一仁]
北周末より唐代初期における洛陽仏教の動向[宮嶋純子]
流動する政治景観――「昇仙太子碑」と武周・中宗朝の洛陽政局――[孫 英剛]
則天武后の明堂と嵩山封禅――『大雲経疏』S六五〇二を中心に――[大西磨希子]
新出「岩和尚墓誌」に見る唐代洛陽の天宮寺[王 慶衛]
唐代洛陽大聖真観考[雷 聞]
龍門広化寺善無畏三蔵真身考――中国唐末~北宋期におけるミイラ信仰について――[榎本淳一]
《特別寄稿》日本の洛陽研究に関する一考察[黄 ?]
附 録
隋唐洛陽史年表
隋唐洛陽地区地図
隋唐洛陽城図<
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