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江戸・下谷の板元、宝来堂。女主の夕、家族を亡くして夕に引き取られた姪の小春、摺師と彫師を兼ねる政の三人で、もっぱら名所画を摺り売っている小さな板元だ。ところがある日、宝来堂で板木づくりと摺りを請け負っているなじみの番付屋・長助が「一大事」と飛び込んできたことから、事態は一変。長助が作った「大福番付」に載った店をめぐる騒動に巻き込まれた宝来堂は、自分たちで番付を作り直して出すことに。「手に取ったお客さんも、番付に載った店も、お祭りのように盛り上がって楽しめる」番付を作るには、いったいどうしたらよいのか。皆で知恵を絞り、工夫を重ねてたどりついたのは、「大福合せ」を開くこと。前代未聞の番付づくりに、料理人だった父譲りの小春の”舌”は、どう活きるのか? 読めば甘いものとお茶がほしくなること請け合いの、江戸のうまいもん話。<文庫書下ろし>
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