コミュニケーション・スタディーズ

コミュニケーション・スタディーズ

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出版社
世界思想社
著者名
渡辺潤(社会学)
価格
2,310円(本体2,100円+税)
発行年月
2021年2月
判型
A5
ISBN
9784790717485

人と人とが結びつくこと、関わること、関わらないこと。社会の基礎にあるコミュニケーションについて、ゼロから考えなおしてみよう。28の講義で何気ない日常の仕組みを解きあかす、究極の入門書。社会学の基礎も学べるロングセラーの改訂版。

【「序」から抜粋】
 
 「コミュニケーション」は英語です。しかし、なぜ日本語に翻訳されずに、原語のままで使われてきたのでしょうか。それは何より、ピタッと適合する日本語がなかったからで、その意味では、「コミュニケーション」には、伝統的に日本人がしてきたのとは異なるやりとりや人間関係の仕方があるということになります。そのことを「コミュニケーション」ということばを点検して、探しだしてみましょう。
「コミュニケーション」(communication)はcom(共に)を意味する接頭辞とmunicate(有する)の結合したことばです。「共有」するために「伝え」たり、「かかわる」行為が「コミュニケーション」の意味になりましたが、「共有」した状態については「コミュニティ」(community)ということばがつかわれます。ですから、「コミュニケーション」について考えようと思えば、「コミュニティ」について考える必要が出てきます。
(中略)
comという接頭辞がつくことばは他にもたくさんあります。たとえば、「会社」(com-pany)はパンを一緒に食べることが原義で、そこから一緒に働く場になりましたし、「戦争」(com-bat)は共に戦うこと、「競争する」(com-pete)は共に求めること、「比較する」(com-pare)は共に置くこと、そして「同情」(com-passion)は共に思うことが原義です。
どのことばも「コミュニケーション」に関係することばだと言ったら、意外に思うかもしれません。「戦争」は「コミュニケーション」が失敗に終わったためにおこるものだと考えるのが普通だからです。しかし、理解しあったり、仲良くしたりすることだけが「コミュニケーション」ではありません。「共に」何かをすることを意味するcomがふくまれることばには、それが何であれ、「コミュニケーション」の要素があると考えた方が、「コミュニケーション」をより深く、そして広く理解することができるでしょう。

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