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国内外から注目を浴びる彫刻家・小畑多丘の、ドローイングをはじめとした平面作品のクロニクルとなる初の作品集です。
B-BOYを象った大型の木彫作品を制作するかたわら「彫刻のためのスタディ」のつもりで描き始めた小畑のドローイングは、「描く」または「描くために動く」といった身体的行為への気づき、さらには画面に置いた絵具を「量として動かす」といった質量との向き合いとして捉え彫刻との共通項を見出したことによって新たな表現技法を獲得し、いつしか絵画にとどまらず、いわば「平面上の彫刻作品」とでもいうべき独自の境地に達しつつあります。
本書は、その進化の過程における8年分の膨大な作品群の一部を、制作行為に対する小畑の意識の変遷とともに収録。フィジカルでありながら無形でもある「動き」を、まるで光を波長や色といった把握可能な要素に微分するスペクトル(Spectrum)のように分解し可視化すると同時に己の身体表現としても昇華させた、B-BOY/彫刻家としての小畑の表現の核心ともいえる作品集です。
小畑作品の鮮やかな色彩を印刷で再現するのは通常は困難ですが、本作は一般的な4色印刷に、さらにパートごとに蛍光インキなどをブレンドした独自の5色印刷を採用し、できうるかぎり再現度を担保しました。
本作の制作には3年を費やしましたが、その理由のひとつは、小畑の制作が驚くべき速さで進化していくため、そのいわば「動き」を印刷面に固着させる時機を測るのが難しかったことにあります。今回ようやく形になった本作は、今後も続くであろうその進化の、ひとつの到達点のタイミングを捉えることができたものということができます。
無限に展開していく小畑多丘の制作思考を、ぜひお楽しみください。
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