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本書『能動的綜合』は,『受動的綜合の分析』と合わせて1920/21年の「超越論的論理学」講義を構成する。これにより後期フッサールへの転換期に位置する本講義の全体像が明らかにされる。
「超越論的論理学」の特徴は,主語と述語による判断形式により形式的規則性を明らかにする従来の論理学に対し,認識論的関心からすべての学問の基礎づけとなる学問論的特性を解明することにある。
学問における研究対象はどのように与えられるのか,その所与性の解明,すなわち「究極的な与えられ方に立ち戻る究極的な学問」こそが「超越論的論理学」にほかならない。その究極的な与えられ方とは「意識によって構成された構成のされ方」を意味する。
フッサールの超越論的意識の構成分析は,『イデーン』期の「ノエシス―ヒュレー―ノエマ」の認識図式という超時間的な本質構造を解明する「静態的現象学」として展開したが,本講義に象徴されるように,1920年代になり本質構造そのものの生成を問う発生的現象学の研究領域への移行を通して解明されることになった。
本書は発生的現象学における後期フッサール現象学を考察するうえでも,またその転換期の様相を知るためにも必読の文献である。
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