さまざまな悩みをかかえ苦しむ人々の声に耳を傾ける電話相談員として、人々の心に寄り添っていきたいと考える人のための入門書として、1999年に刊行された『電話相談の実際』を、刊行から20数年を経て初めて全面改訂いたしました。
1970年代から広がり出した電話相談。話し相手がいなくて寂しい、悩みごとの相談相手が身近にいない、相談先がわからない、といった人のための受け皿として機能し始めていました。そんな中、相談の受け手の役割を担いたいと、名乗り出る人が増え、さまざまな研修もおこなわれるようになりました。
そんな人たちの期待と要望に応える形で誕生した『電話相談の実際』ですが、初版の1999年から20年を経た今、電話相談を取り巻く状況は大きく様変わりしました。
電話相談員の方が自宅や公衆電話からの電話を受けていた時代からようやく携帯電話の普及が顕著になった1999年の発刊当時からすれば、その後のスマホの拡がりは、電話相談自体のありかたを大きく変えるできごとでした。また誰もが気軽にインターネットを利用できるようになり、声ではなく文字によるコミュニケーションツールやアプリが一般的に活用されており、相談機関への新たなアクセス方法として登場しています。
ただ相談する方法や手段は多様化しても、心の内を誰かに知ってもらいたい、と思っている人は、以前にも増して増えているように感じられます。度重なる大規模震災や水害、さらに2020年初頭より社会を取り巻く感染症渦により、ソーシャルディスタンスをしいられることで、孤独感を感じる人も多いのではないでしょうか。
今回の改訂では、様変わりした携帯電話やインターネット、メールといったツールや多様な相談内容にも触れながら、電話相談員として、相談者の心の声をしっかりと受け止めるためにどうすればよいか、という「今」知っておきたいことを全10章で改めてご提供しています。
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