談 no.119(2020)

特集:人新世と未来の自然学

談

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出版社
たばこ総合研究センター
著者名
篠原雅武 , 林竜馬 , 斎藤幸平 , たばこ総合研究センター
価格
880円(本体800円+税)
発行年月
2020年12月
判型
B5
ISBN
9784880654935

人新世と未来の自然学

大気化学者パウル・クルッツェンと生物学ユージン・ストーマーは、私たちがもはや「完新世」ではなく、人間活動が地球の生態系や気候に重大な影響を与える「人新世」という新たな地質年代を生きていると唱えた。人新世のアイデアは、地球環境への人間の影響力を重視するが、そもそも人間は、地球環境に深く依存していたのではなかったのか。そうした考えは、人間と地球環境の切り分け、すなわち人間と自然の分割がほとんど意味をなさない、曖昧なものではないかという議論へ発展していく。自然と人間という二元論が意味をなくす。人新世では、自然と人間の二元論が消滅するだけではない。自然科学と人文科学という学問の二分法もまた意味をなさなくなってきているのだ。



今日、人文科学は、人間を超えた視野を獲得し、西洋思考に潜在する人間中心主義を脱中心化しつつある。人新世のアイデアは、こうして、地球科学、考古学、自然人類学、歴史学、文化人類学、生物学、さらには文化表象など、人間と自然のかかわりすべてを対象とする学問へと思考の方向を大きく転換させようとしている。新たな自然学の誕生だ。

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