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「飄逸」「無頓着」「狷介」「韜晦」「隠者」、美術ジャーナリズムが氏を評して使ってきたその種の言葉のすべては、実は収束するところ己が信じる油絵を求めて画事以外のなにものも打ち捨ててきた画家自身のいま述べてきたような生活姿勢に起因するものだったのである。(本文より)
単純化された描線、透明感のマチエル、そして何よりもその飄々とした画風で高い評価を得ている松田正平(1913-2004)は、洲之内徹、白洲正子など同時代の美術愛好家に愛されながら、1984年に日本芸術大賞を受賞するまではほとんど無名に近い画家であった。
受賞後、松田の郷里・山口の県立美術館学芸員として初の回顧展を企画担当した著者は、作品や画家本人との対話を重ね、画家の魅力に迫ろうと考察をつづけた。その集大成でもある本書では、同郷で美校同窓のライヴァル、香月泰男との対比や、コレクターとして名を馳せた福島繁太郎との師弟関係、画家と深く交わった知己に取材するなど、戦後洋画史に独自の画境をひらいた松田正平の本質に迫る第一級の評伝となっている。
周防灘の穏やかな風土、表情豊かな犬や魚、戦後の焦土で出会った可憐なバラを描き続け、「日本人にとっての油彩」を追究した松田正平の芸術と生涯。カラー口絵、詳細な年譜を付す。
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