科学技術と社会の関係がいま、大きく揺らいでいる。
高度に進化し、日常に深く浸透したテクノロジーは、もはや科学的知見だけでは制御しきれないものとなった。それにより、科学技術の専門家、ひいては科学技術そのものが、しばしば疑いの目で見られ、時にないがしろにされるような状況が生まれている。しかし私たちの日々の生活は、科学技術なしには到底成り立たない。
科学技術といかに共生していくか――。この問いがいま、現代社会に生きる人々すべてに対して突きつけられている。テクノロジーへの無自覚・無関心な依存を脱し、互いに語らうべきときが来た。
原子力発電、遺伝子組換え、BSE、地球温暖化、そして新型コロナウイルス――。科学技術と社会の関係深化がもたらす課題と、それらをめぐるコミュニケーション・意思決定のあり方について、産業・理工学・人文社会学の各分野の第一人者たちが、それぞれの視点から切り込んでいく。
〈人類にとっての科学技術の意義とは〉、〈なぜ人々は科学技術に不信感を抱くのか〉、〈科学技術の光と影に、どのように向き合うべきか〉・・・。
各章で示される主張はまた、我々自身へのさらなる問いかけでもある。これらは現実の複雑さを投影して、さまざまな視角をもつ多次元の写し鏡をなしている。多面的な対話の重要性を、あなたは理解することになるだろう。
突きつけられた問いに向き合い、ともに語り、そして前進するための燈火となる書。
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