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手話は言語だ。
[コーダ]=音の聞こえないろう者の両親のもとに生まれた、聞こえる子(Children of Deaf Adults)の話。
映画監督、作家であり、才気溢れる“ストーリー・テラー”、イギル・ボラ。
「コーダ」である著者が、ろう者と聴者、二つの世界を行き来しながら生きる葛藤とよろこびを、巧みな筆致で綴る瑞々しいエッセイ。
家族と対話し、世界中を旅して、「私は何者か」と模索してきた道のり。
◆あらすじ
著者は、「手話」を母語とし、幼い頃から両親の通訳をまかされ、早くから社会と接することで、成熟していった。
21歳で自らが「コーダ」と呼ばれる存在だと知った彼女は、同じコーダの仲間と知り合い、彼らの声を集めて、「コーダ」がどんな存在かを見つめなおす。
ある時、ろう者の父とともに、ろう文化の天国であるアメリカを訪れ、「デフ・ワールド・エキスポ」、ろう者に開かれたギャローデット大学で新たな文化と出会った。
帰国後、聞こえない両親、聞こえる自分と弟からなる自身の家族をみつめたドキュメンタリー映画の製作を決意。インタビューを重ね、彼らと自分の葛藤を映像の力で伝えることに挑んだ。
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私は、手で話し、愛し、悲しむ人たちの世界が特別なんだと思ってきた。正確に言うと、自分の父や母が誰より美しいと思っていた。
口の言葉の代わりに手の言葉を使うことが、唇の代わりに顔の表情を微妙に動かして手語を使うことが美しいと。しかし、誰もそれを「美しい」とは言わなかった。世間の人たちはむしろそれを「障害」あるいは「欠陥」と呼んだ。
(一章「私はコーダです」より)
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◆推薦コメント
読みながら胸が痛かった。けれどもこの痛みは、コーダが迎える未来を新しく切り開くものでもあった。
あなたとわたしの異なりからもたらされる喜び、そして、悲しみは、文化の出会いそのものだ。
―― 齋藤陽道(写真家)
ろう者の両親のもとで育った起伏に富んだ人生を表現することばの深さ、そして広がり。
この本は、ろう者とろう文化への格好の道案内として読むことができるだろう。
ボラさんのことばと思考は彼女のストーリーテリングにいくつもの輪郭を与え、多重露出のようなきらめきを与える。
―― 斉藤道雄(ジャーナリスト/「解説」より)
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