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自らの祖先に関心を寄せ、島を調査に訪れる大学人フェルサン。
彼と同じ血脈の末裔に連なる、浮浪者同然に暮らす男ドードー。
そして数多の生者たち、亡霊たち、絶滅鳥らの木霊する声……。
父祖の地モーリシャス島を舞台とする、ライフワークの最新作。
ノーベル文学賞作家の新たな代表作!
ぼくは帰ってきた。これは奇妙な感情だ、モーリシャスにはこれまで一度も来たことがないのだから。見知らぬ国にこうした痛切な印象を持つのはどうしてか。父は、十七歳で島を離れて以来、一度も戻ったことがない。(…)父は戦後母と出会い、二人は結婚した。父は故国を離れた移住者、今で言う「一族離散(ディアスポラ)」による移住者だった。(「砂嚢の石」より)
アルマ。この名はごく小さいときから言える。ママ、アルマと言う。ママとはアルテミジアのこと。母さん(ママン)のことはよく覚えていない。母さんはおれが六つのときに死んだ。(…)意地の悪い奴らは、母さんがよそへ行けばよいと思っている、レユニオン島生まれのクレオールで、分厚い縮れた髪をしているからだ。(「おれの名はドードー」より)
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