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この世界は、いったい、どこまで続いているのか。
私は、その輪郭を、確かめてみたかっただけなのだ。
親子三代の人生と記憶、 土地の歴史が重ねられる京都を舞台とした「もどろき」、
十代の旅の思い出と、 北サハリンで出会った人々との交流と描く「イカロスの森」。
芥川賞候補にもなったふたつの「旅」をめぐる作品と、
初の書籍掲載となる小説「犬の耳」、書き下ろしの解説を所収。
池澤夏樹 推薦
血族、旅先の出会い、淡い恋、人と人は言葉を交わし、運命の舞台でゆっくりと舞う。背景には京都やサハリンの地名が星座のように刻印されている。季節は移り、生きることが大らかに肯定される。たとえ私たちが「いかなる歓喜の中にあっても無限に悲しい」としても。
この二篇の小説を読み終わるとどこか遠くへ行きたくなる。結局のところ世界は美しい、と思えてくる。
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