ヴァイマル共和国は、先進的な議会と憲法をもちながらも、ナチ政権の到来により崩壊したことから、民主主義の失敗の象徴として注目されてきた。それは滅亡を運命づけられた民主政だったのか。
ヴァイマル共和国の成立に至る1918年の11月革命を、著者ゲルヴァルトは「史上最大の革命」と名付ける。これは当時の日刊紙の主筆T・ヴォルフの言葉で、君主政から民主政へと平和的に移行したことを称賛している。その後、ナチ政権は1918年11月を忌むべき犯罪の日として喧伝した。
著者はヴァイマル期を歴史の教訓という像から、より立体的なものにすることを試みる。当時の政治家、作家、極左と極右の運動家、一般の人々などの様々な立場からの証言、そして公文書、新聞雑誌、機関紙、日記などの膨大な資料から、革命前夜、ヴァイマル共和国の成立、それによる国家と社会の構造転換を一望する。
従来のように英仏からの視点ではなく、中東欧諸国との相互比較、第一次世界大戦後のヨーロッパ全体の体制変化などの広い視点から、これまで看過されてきたヴァイマル期の実像を明快に描き出し、現代史の死角に光を当てる。
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