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『とはずがたり』は後深草院の後宮に入った二条というひとりの女房が、三六年間に亘る自らの半生をつづった日記・紀行文学である。伝本は宮内庁書陵部蔵の桂宮本(江戸時代初期の写本)のみが現存。昭和一五(一九四〇)年に世に初めて紹介されるまで、ごくわずかな人々にしか知られていなかった作品である。
鎌倉時代、権力の中枢は貴族の手から武士の手へと移り変っていた。ややもすれば退廃的な宮廷の世界で数奇な体験を重ねつつも、自己を確立し成長していく二条――。その生き様は、七〇〇年の歳月を経た今日でも鮮烈な印象を与えずにはいられない。
〈目次より〉
其の一 大いなる転機/其の二 愚かなりし我が心/其の三 愛と死/其の四 夢の彼方 /其の五 我が名は女
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