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掲載歌より
歩きつかれベンチにゐれば差し伸べる手のごとゆりの木の影とどく
沼の主の蛇にかあらん枝にきて雨にからだをうたせてゐたり
一年に六時間づつためてきてけふはうるふ日 ギャラリーにいく
明け方に来てこしかける人もあらん砂(いさご)になかば埋もれゐる椅子
子午線を越えてよりのちふはふはとすると思ひてゐれば君もいふ
空色のトラックは移動式本屋さん港町の辻にけふは来てゐる
揚雲雀の声をききつつ太りゆくキャベツか大きく外葉ひろげて
父母の暮しのなかに飛び跳ねてありしか幼きわれら三人子
さざ波のやうな葉いくへもひろげゐる合歓の木の下 み祖は眠る
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