電子物性とデバイス

電子情報通信レクチャーシリーズ

電子物性とデバイス

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出版社
コロナ社
著者名
電子情報通信学会 , 益一哉 , 天川修平
価格
4,620円(本体4,200円+税)
発行年月
2020年11月
判型
B5
ISBN
9784339018097

バイポーラトランジスタを発明したWilliam Shockleyが書いたElectrons and Holes in Semiconductorsという本がある.この本では固体結晶と伝送線路の対比が少々論じられていて,著者(益)は学生の頃これを読んだのだが,正直,なぜ論じられているのか理解できていなかった.その後それで困ったこともなかったが,ずっと気に掛かっていたのだと思う.2010年に著者両名で本書の内容について議論を始めた時,いきおい,固体物性の基礎の部分は量子論を使わず回路論的に説明しようということになった.そのためにはまず,自分達でよく理解することから始めなければならなかったが,本書で上手くまとめることができたと思っている.
上記以外にも筆者らが気になっていた点を持ち寄って,十年越しで議論を重ねて出来上がったのが本書である.
もう一点だけ本書で重点的に取り上げた事項を紹介するならば,それは「エネルギーバンド図」ということになるだろう.半導体デバイスの教科書には必ずエネルギーバンド図なるものが登場する.では,なぜそのような図を描くのだろうか.「そういう習慣だから」という以上の理由があるのだろうか.この疑問に,エネルギーバンド図の読み方を他に類のないほど詳しく説明することで,答えることができたと思っている.しかるべく描かれたエネルギーバンド図からは,驚くほどデバイスの物理が読み取れるのである.本書のおかげで,我々自身もエネルギーバンド図とは一体何なのか,よく理解することができた(笑).そして,代表的な半導体デバイスであるダイオードのエネルギーバンド図を読み解いて,(長年講義をしていながらわかっていなかった)ある謎を解決することができた.詳しくは本書をご覧いただきたい.学生諸君の中には,大学の教員(や学長)は本書で取り上げているレベルの基礎事項を理解していて当然,あるいは教科書に書いてあることは全て正しいと思い込んでいる人もあるかもしれない.しかし,それはとんでもない思い違いである.本書の執筆に当たっても,筆者らにとって新しい発見がいくつもあった.同時に,力不足で書けなかったネタもあるし,ひょっとしたら誤りもあるかもしれない.本書を一つの踏み台にして,乗り越えて行くつもりで読んでもらえたらと思う.
先に述べたように,筆者らが常々気になっていた事柄も書き込んだので,既に半導体を学んだ方にもお役に立てる部分があるはずである.「談話室」も充実させたので,楽しんでもらえると幸いである.世の中の変化が早く,学びも理解も表層的になっているようにも思える中,部分的かもしれないが半導体物性とデバイスの本質に迫ったつもりである.

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