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武将はみな、戦国という盤上の碁石なのか?
「信長公の首級は何処にある」
囲碁名人の本因坊算砂は息が止まりかけた。
慶長十二年師走、大坂の陣が勃発する七年ほど前の駿府城。
すでに将軍職を嫡男の秀忠に譲り、
今は大御所政治を敷いている徳川家康と
対局している最中の出来事だった。
心中深く見通すような眼光で睨んでくる家康に、
沈黙するほかない算砂――。
家康の気迫が込められた、
堅固な盤を打ち抜かんばかりの碁石の音が、
算砂の「炎の記憶」を呼びさましたのであった。
算砂は、日海と名乗っていた若かりし頃、
戦国の荒波に翻弄され、図らずも本能寺の変に触れていた。
いまだ見つからない織田信長の亡骸、
依然と知れない明智光秀の肚の内。
茶会や連歌の会、安土築城などに潜む数々の謎。
なにが謀反を引き起こしたのか?
信長や光秀、松永久秀、荒木村重、
佐久間信盛、斎藤利三ら武将、
五摂家筆頭の近衛前久、連歌師の里村紹巴、
堺商人の小西隆佐、雑賀衆の鈴木孫一と善住房、
薬師の曲直瀬道三、神主の吉田兼和、
宣教師のオルガンティーノらは、国盗りという盤上の碁石なのか?
若き法華僧の棋士が戦国人の間近で見た
歴史の棋譜を描く、瞠目の長編歴史小説。
【編集担当からのおすすめ情報】
「名人が打つ棋譜のように鮮やかな結末。信長と光秀の命運が一手毎に迫ってくる」――城郭考古学で有名な、奈良大学の千田嘉博教授が帯コメントをご寄稿下さいました!
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