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わたしたちは「家族」になれるのか?
◎アメリカ大統領選を左右する存在のひとつ、福音派 evangelicalと呼ばれるキリスト教右派はこれまで共和党の大票田として、同性婚、人工妊娠中絶、公立学校での祈りの実践、銃規制など文化的価値観のかかわる政治決定を左右してきた。
◎本書は、アメリカを舞台に1950年代からはじまった同性愛者の権利運動が、福音派を中心とする保守から激しい反動(バックラッシュ)を受けながらも、いかに自分たちの権利向上を訴え、2015年に同性婚(婚姻の平等)を実現したのか、その半世紀以上にわたるダイナミックな歴史を辿る。
◎過去に苛烈な同性愛者差別があった保守傾向の強いアメリカで、なぜ同性婚は実現しえたのか。本書ではこの問いに対し、「家族」という価値観に焦点を当て、保守の反動の中にある同性愛への忌避と恐怖の本質を浮き彫りにしつつ、同時に、社会が同性愛者の訴訟戦略に代表される権利運動をつうじて、彼らの権利保障の重要性を認識し、社会制度、法制度を大きく変えていく過程を忠実に描き出す。
◎終章では、アメリカの歴史をふまえて、同性婚の是非をめぐる議論がはじまったばかりの日本の現状や、現在、同性カップルがどのような不利益を被っているのか具体的に明らかにし、憲法や福祉の観点から同性婚を実現すべき根拠を説得的に提示する、時宜を得た挑戦的な一冊。
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