香日向

田叢書

香日向

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出版社
飯塚書店
著者名
清水余人
価格
2,860円(本体2,600円+税)
発行年月
2020年10月
判型
四六判
ISBN
9784752250111

仕事の周辺を詠み、家族を詠み、吟行の所産も多い。まぎれもなくこの句集は俳人清水余人の履歴書である。―─序より 水田光雄



落葉松の芽吹きに妻の染まりけり

円墳を登りて下りて梅探る

春の野に頭出したる土偶かな

落葉松の芽吹きに妻の染まりけり

山藤や何の何某いまは爺

昭和はるか植田に雨のしぶきけり

蟇出できて顔を仰がるる

武器に触るることなく老いて終戦日

看板に赤きクリップ文の秋

週三日行くところあり吾亦紅

水澄むや閉山といふ行き止り

毒茸に囲まれてゐる茸好き

何かある炬燵の中の気配かな

ニュータウンものみな古りて去年今年

鰐口を鳴るまで叩き寒参

母を待つ父のごとくに春待てり

――収録句より

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