「記憶」という言葉が氾濫している。過去を伝える「伝統」や「歴史」が後景に退き、記憶があらゆる集団的アイデンティティを生み出し続けており、近年では社会的要求や公共政策にも反映されている。本書において、集合的心傷の記憶史研究のパイオニアの一人である歴史家アンリ・ルソーが取り組んだのは、このような現象を理解するためには、フランス、ヨーロッパを超えて世界規模でグローバルに考察することが、いかに重要であるかを示すことである。ホロコースト(ショアー)に代表されるカタストロフの記憶を維持するために現代世界は莫大な投資をしてきたが、それでも悲劇や大規模暴力の再発を防ぐに至っていないからである。
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