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江戸時代に生きた画家たちが憧憬した「文人」の精神や生き方を捉え、その絵画の成立背景を明らかにする。
明治の世となって西洋の哲学や思想が流入したことに加え、二十世紀半ばの大東亜戦争(太平洋戦争)敗北を承け、江戸時代における思潮の中心であった儒教的価値観は、結果的に前近代の悪しき身分制や封建主義の象徴と見做されるにいたった。その風潮は現在に至るまで影響を及ぼし、江戸時代の美術を論じるにあたっても、儒教的な解釈を必要とする作品に十分な考察が加えられないばかりでなく、場合によっては意図的に無視したり、その影響を矮小化してとらえる傾向すら存在している。歴史的事実を明らかにするために必要なのはイデオロギーではなく、当時において当たり前に存在した価値観をしっかり見つめることであり、それを理解すべく努めなければならないのは改めて言うまでもない。
このような状況を江戸時代に関する美術史研究の根本問題ととらえ、すでに我々からは縁遠くなってしまった儒教的価値観に注目し、十八世紀から十九世紀という時代をとらえ直せば、どのような歴史観が構築できるかとの観点に立ち、これまでに執筆した論考から数本を選んで本書にまとめることとした。(「序」より抜粋)
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