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「何かを想像する時には、その想像の中で自分が想像していないことが起こりうることを想像しておけ」(「ののの」より)
「視線を向けられるのはせいぜい一つの所だけだろう。外ではなく内に視線を注げと、誰かに強要されている気持ちになる。でもその誰かとは、一体誰だろうか」(「かぜまち」より)
「海が縮んだ分、砂漠が減っている。そうなると世界はみんな均一になって人間も同じ顔になっちゃいそうだ」(「ろんど」より)
曖昧な世界の境界線、簡単にはわかりあえない他者との関係を描き、「自由とは何か?」という問いを投げかける太田靖久の小説は、読者に「目を凝らし想像すること」を求めているかのようです。
すぐには全体が見渡せない不穏な作品世界の中を、一歩一歩想像しながら歩いていると、いつしか道が開け自由な場所へと導かれる。そんな、自由で不自由な小説集です。
(「ののの」「かぜまち」「ろんど」の三編を収録)
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