寿ぐひと

寿ぐひと

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出版社
新評論
著者名
嶋守さやか
価格
2,640円(本体2,400円+税)
発行年月
2020年10月
判型
四六判
ISBN
9784794811615

「ねぇ、ことほぐって知ってる? 『寿』って書いて、送り仮名は『ぐ』と書くの。慶びごと――古くは三河万歳に由来するとも言われているけれど、お正月に家々をめぐって祝芸を披露し、お慶びの言葉を伝えることをいうの」
 現在のように移動の自由が認められておらず、住んでいるエリア以外がすべて異界とされた前近代社会で、賤視と迫害に遭いながらも民衆の幸福に寄与するために旅した聖、それが「寿ぐひと」の実像であった。本書では、旅する聖(日知り)である「寿ぐひと」と「原発、住民運動、死の語り」といった地域社会問題を論じることにした。両者に共通するキーワードは、「想像力」と「現場力」である。地域、日本、世界をそれぞれ「知る」とき、その場に生きる人びとや暮らしを想像する必要がある。生活圏ではない所にいる人たちの心情に自分自身を重ね、何ができるのかと考えて行動する力が今とても大事になっている。
 私が歩いた宮古島、敦賀市、祝島、東京・山谷、カンボジア、そして地元の愛知県などで、原発建設問題と看護師の死の語りに私は耳を傾けた。そして、旅した「日」に「知り」えたことを「頃は幸せ、時に今」と思い、私は本書を世に送ることにした。
 本書が発売される2020年はコロナ禍となっている。これまで以上に、生死の語りが日々繰り返されている。地域ごとに生きている幸福な日常風景があり、国策に翻弄され、それと抱き合わせの繁栄に喜ぶ人が一方にいる。休業補償金の多寡で地域が分断されたり、密告社会となって心がすさみ、妬み合い、足を引っ張り合う人の姿もあるようだ。
 人として救い合うために、今、権力への恨みや憎悪を声にして、その声を「願い」に変えていく必要がある。制度や市場に翻弄されず、生活の問題に自分たちで対処できるよう、少しでも見識を積み上げていこうとする姿勢が重要となる。信頼、助け合い、お付き合い、憐れみ、共感を醸成する術(すべ)を、本書でみなさんとともに模索していきたい。

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