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◆第一句集
望の夜の雲はなやいで通りけり
このはなやぎは名月に由来するのですが、雲のこの在りようによって、かえって名月が荘厳されているかのようです。澄んだ秋の夜の一景です。
(序・中村雅樹)
◆自選十二句より
夕闇のしづしづと来る桜かな
啓蟄の人声とほくまで届く
葭切の声があちらに移りけり
神さまの実梅と言ふが落ちに落ち
亀鳴くと言ひて丸太を磨きをり
水澄んで四五人の祓はれてゐる
みどり児のまなこ澄みたる野分かな
押花に長き根のあり獺祭忌
氏神の日向を吹きし秋の風
望の夜の雲はなやいで通りけり
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