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本書はフッサールの現象学の基本概念である指向性に焦点を当てた入門書である。その特徴は何よりも、この概念の歴史的背景を、アリストテレスに遡り、中世哲学を経てイギリス経験論の哲学などを渉猟して幅広く解明している点にある。また、十九世紀末からのブレンターノ、フレーゲとフッサールの考えが、「内容理論」と「対象理論」の対比を軸にわかりやすく述べられる。さらに、第二部において、ノエマ、射映、地平を中心としたフッサールの考えが、「内容理論」との関連で、豊富な例とともにわかりやすく説明されており、こうした点でも現象学への格好の「歴史的」入門書たりえていると言えるだろう。
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