取り寄せ不可
過酷な運命を背負った少女カットニス・エバディーンを主人公に据えたディストピア小説『ハンガー・ゲーム』シリーズの前日譚。
主人公は、カットニスの宿敵ともいえる、恐ろしい独裁者コリオレーナス・スノー。
バラをトレードマークにし、いかなる毒にも耐性があり、誰も信用しない老大統領──彼にも少年時代があった。
それも、高貴な家柄に生まれたものの両親と死別し、祖母といとことともに貧しい生活に耐えながら、必ずのし上がると自分に言い聞かせていた時代が。
コリオレーナスが教育係を務めた第十二地区の少女、ルーシー・グレーは「ハンガー・ゲーム」で勝利した。
だが、彼のひそかなたくらみは、なぜか彼を目の敵にする学部長ハイボトムにすべて見破られていた。
はや治安維持部隊に志願する以外の道は残されていなかった。髪を刈り上げ、キャピトルに別れを告げて、コリオレーナスは絶望を抱えて列車に乗り込む。
向かう先は、最終地点──第十二地区だ。だが、思いがけない展開が彼を待っていた。
解説:三辺律子
「『ハンガー・ゲーム0』は、なぜ冷酷な支配者スノー大統領が生まれたか、ハンガー・ゲームがなぜ作られ、どう発展したのか、マネシカケス誕生の謎や、首つりの木の歌の秘密など、三部作の背景を解き明かしてくれる(本作から読む読者には、時系列でパネムの繁栄と衰退を追える楽しみがある)。だが、それ以上に、コリンズが描く人物の魅力に改めて目を開かせてくれるのだ。
『ハンガー・ゲーム』がベストセラーに躍り出た後、サバイバル物のディストピア小説ブームが起こり、次々ヒット作が生まれたが、その中でも『ハンガー・ゲーム』が抜きんでているのは、登場人物たちの強烈な引力によるものが大きい」(翻訳家 三辺律子)
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