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1986年にニューヨークへ移住してからは、久下が描く日本的なものと言えば年賀状に使う「干支もの」か「招き猫」などにかぎられていた。そんな久下が、あるとき、「ちょっと、日本を描いてみたくなりました」と言った。ニューヨークにいると、日本の伝統芸能や文化が高く評価されていることを実感する機会が多く、「自分でも、それが嬉しくもある」と言う。また、「日本というテーマは得意かもしれない、という気もする」とも言った。そんなことから、「猫という要素」を組み入れて「日本のさまざま」を改めて描きたくなったと説明してくれた。
毎年銀座の「伊東屋」で開催している新作発表個展においても、2005年からは「和の作品」を発表するようになった。「小倉百人一首」の猫版としての「百猫一首」や歌舞伎に狂言、上方落語、さらには浮世絵などをテーマにして作品を展開している。招き猫などについては、「描きながらついニヤリとしてしまう。いつでも、好んで描きたい世界です」と話している。久下がニヤリとしながら描いた作品はギャグや駄洒落満載で、楽しいことこの上ない。
そんな楽しさを味わってもらおうと、今回の「久下貴史作品集3」では、これまでに描きためた「和」の作品を厳選しつつ、各地を再訪して描いた新作などを加えて構成することにした。収録作品は総数272点を数える。2019年の「第19回個展」に足を運ばれた方であればご存じだろうが、そのときに発表した「猫の三十六歌仙」シリーズも収録している。
前作『猫たちとニューヨーク散歩』の発売後にファンから寄せられたコメントに、「作品解説を読むと、久下さんの人柄が伝わってくる」というものがあった。そこで、さらに人柄を知ってもらおうと、今回は「久下貴史の京都ぶらぶら歩き」という一文をスナップ写真などともに掲載することにした。新型コロナが理由でなかなか旅行に行けない2020年の秋、作品を鑑賞しつつ、文化的な日本観光を楽しんでいただきたい。(「まえがき」を改変)
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