瑠璃蜥蜴

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出版社
ふらんす堂
著者名
桂凜火
価格
1,870円(本体1,700円+税)
発行年月
2020年9月
判型
A5
ISBN
9784781413013

◆第一句集シリーズ/II



桃ふたつかたみに息を吸うて吐く



「かたみに息を吸うて吐く」というもの桃も二つ、人間も二人。お互いに食べ合っているのは仲のよい二人に違いない。すると桃も艶々してくる。そこに魅力があるんじゃないかしら。

(序・金子兜太)



◆自選十句

菫草怒りの束は光に放つ

春の宵ひと刺してきた口漱ぐ

水草生う白きリネンの匂いして

沖縄忌見て見ぬふりの指を嗅ぐ

大浦天主堂毛虫一匹入れる瓶

八月のゆるき寝息の映画館

桃ふたつかたみに息を吸うて吐く

蒼穹はカッターナイフ銀杏散る

フクシマやスローモーションの牡丹雪

今日を跳ぶかぼそさを跳ぶ冬の虫

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