本書・入門経済学を刊行するにあたっては、同じ原著者たちによる『ミクロ経済学』『マクロ経済学』から、経済学の基本となる概念を学ぶための15章をピックアップして再構成がなされました。
第Ⅰ部(1章から4章)は経済学一般に共通する基本知識です。
第Ⅱ部(5章から8章)はミクロ経済学の基礎にあたります。最先端の実験経済学の成果も取り入れた「新しい」経済学を学びます。
第Ⅲ部(9章から15章)はマクロ経済学の基礎です。金融危機以降に書き換えが迫られている経済学にも対応する「新しい」内容となっています。
本書を含む『アセモグル/レイブソン/リスト 経済学シリーズ』を原著者たちは以下のように位置づけています。
経済学の考え方はシンプルなものでありながら、世界の出来事を説明し、予測し、改善するうえでとても役に立つ。
それを知ってもらおうと思い、私たちは本書を執筆した。
――原著者「まえがき」
その目的を実現するために、テキストでは3つの原理と3種類のコラムが採用されました。
●人間行動を理解するうえでの経済学のアプローチの核心である3つの原理
「最適化」:人々は可能な選択肢の中で最善のものを選ぼうとする
「均衡」:最適化の原理を拡張することによって均衡は導き出される
「経験主義」:どのように現実のデータを用いて具体的な問題の解決策を示すのかを描く
●現実社会の問題を直観的に理解することを目的とする3種類のコラム
「根拠に基づく経済学」(EBE):どのように現実のデータを用いるのかを考える
「データは語る」:現実のデータを議論の根幹に据える
「選択の結果」:最適化の原理を扱うための経済的意思決定の問題を考える
また、テキストの特徴を監訳者は以下のように述べています。
本書の特徴は、「新しい」と「やさしい」である。
経済学の最先端で議論されているような最新のトピックが、教科書の中核に取り入れられている。
本書では、理論を学ぶことが優先ではなく、経済を理解するために、経済学を学ぶことが優先である。
また取り上げる課題の多くは、経済に起こった現象の原因と結果の解明である。
――「監訳者まえがき」
学生にとっても身近な「フェイスブック」が無料でサービスを提供している理由は何なのでしょうか? その背景を経済学で解き明かすことから本書はスタートします。
まさに「経済を理解するために経済学を学ぶことが優先」されたテキストです。無料で提供されているという「経済に起こった現象の原因と結果を解明」する経済学です。
本書の読後には、現実の経済社会に対する見方は違ったものになっていることでしょう。
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