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ブレヒトが始めた演劇は、100年経った今も、レントゲン写真で写し撮ったように現代社会の病巣を浮かび上がらせる。そして、今、酒寄氏の翻訳は、ブレヒトの本質をこの日本社会に照らし出す。
白井晃(演出家・俳優)
ブレヒト亡命時代の2作品、新訳!
ヒトラーが独裁者として成り上がっていく過程を、シカゴのギャングの世界に置きかえて描き、ポピュリズムへの警鐘を鳴らした「アルトゥロ・ウイの興隆」。血のつながりもない子を必死で育てる娘グルーシェの姿とにわか裁判官アズダクによる大岡裁きを通し、戦争で荒廃した人々の心の再生(対立の和解)を謳った「コーカサスの白墨の輪」。亡命時代に書かれ、ともに時代と切り結んだブレヒトを象徴する作品。
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