今だからこそ「子ども発」の学びを

今だからこそ「子ども発」の学びを

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出版社
新評論
著者名
行田稔彦 , 船越勝
価格
2,860円(本体2,600円+税)
発行年月
2020年8月
判型
四六判
ISBN
9784794811578

コロナ禍において「学びの喪失」という言葉が囁かれるようになった。新型コロナによって生じた「全国一律休校」は、子どもと学校、そして家庭に甚大な影響をもたらした。それが理由で、学校が子どもの生命活動にとってかけがえのない空間であることに改めて気付き、「教育とは何か」について根本的に問い直す必要に迫られている。さらに、コロナ禍は、それ以前の学校教育が抱えている問題を可視化したとも言える。
 一つは、子どもの生活が重視されてこなかったことである。一番のストレスは「つながりたいのにつながれない」という生活にあり、学力向上のために学校行事や校外活動などが縮小され続けてきた。二つ目は学力テストで競わせるという問題である。まさに、学習指導要領の内容を機械的に押し付ける詰め込み主義である。三つ目は教育格差で、それは授業のオンライン化で顕著となった。双方向のオンライン授業が可能なのは、小・中・高の五%でしかない。教育の真の平等を目指した条件整備の必要性が明確になった。
 このような時代だからこそ、「子どもの深層にある学びへの要求にこたえる教育」が必要となる。本書で示したのは、まさに「子どもからの学びの要求」と「学校と教師のあり方」を提起する教育実践である。人間性の特質は、「もの」「コト」「人」に働きかけて分別し、交わりのなかで成長・発達し、失敗を乗り超えて創造すること、の三つにある。本書では、それらを重視する教育を「原体験教育」と呼んでいるわけだが、言葉を換えれば「バーチャルからリアルへ」ということである。自然や物事の事実から出発し、生じた問いが仲間との学び合いによって発展し、人々と結ばれて社会を認識し、地域と共に歩む形で学びがさらに発展していく。「自分ごととして問題解決を考える」主権者としての学びを生み出している本書の教育実践は、「コロナ時代に求められる教育の原理」に大きな示唆を与えるだろう。コロナ禍が子どもたちから奪ったものは、「3か月の授業遅れ」だけではないのだ!(こうだ・としひこ)

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