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天文19年(1570)、九州を制覇する勢いを見せていた西の大国・大友氏で国を揺るがすお家騒動が勃発した。「二階崩れの変」。当主の義鑑が、嫡男・義鎮(後の宗麟)を廃嫡して愛妾の子・塩市丸を世継ぎに据えようとして起きた政変だ。大友家重臣の吉弘鑑理は、義鑑の意向に翻意を促そうとするが逆に義鎮を討つよう命じられてしまう。吉弘家が大友第一の忠臣であることを自任する鑑理は、主命には逆らえない。懊悩しながらも兵を動かしていると、廃嫡反対派の動きが素早い。塩市丸は殺害され、当主・義鑑も重傷を負ってすぐに落命。義鎮が新当主の座に就く。梯子を外された形の吉弘家は謀反の疑いを掛けられ、改易の危機に立たされる。それでも鑑理は釈明もせず、亡くなった前当主への「義」を愚直なまでに貫こうとした……日経小説大賞受賞の本格歴史小説。
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