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いちばん、大事なものを知って、彼女は内面の中に、中心を得たのだろう。書くものは、すべて冒頭に述べたような深みと大きさとわかりやすさを持ったものになった。
彼女は、ずっとそれを得ようとして、手探りしていたのかもしれない。目をこらしたり、本を開いたり、考えたり……、まさか、背中で感じとるようになるとは、夢にも思わずに-。
こうして、歌集全体が、大きな交響詩のような物語となった。
蔵書の歌もよく、犬の歌もよく、思いの歌もよい。
彼女の歌がなんといっても素晴らしいのは、歌の仕上げのよさである。彼女の歌には、長すぎるということはまずない。大きな物語を含んでいるのに、簡潔である。
(草壁焔太 跋文より)
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