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本書は、数学で必ず学ぶ「複素数」を基礎の基礎からていねいに学べる数学読み物です。登場人物の楽しい数学トークを通して、複素数が生み出す世界の広がりを学びます。
第1章「直線上を行ったり来たり」では、「2乗すると9になる数は?」というやさしい問いかけに始まり、数が持つ性質を調べていきます。数の大小を比較したり、正負の数の掛け算を学んだりしながら、数の基本的な性質に親しんでいきます。また、二次方程式の解と二次関数のグラフの関係も学びます。
第2章「平面上を動き回って」では、平面上に点を描きながら複素数を導入します。実数と虚数で似ているところや違うところを調べながら、複素数の理解を深めます。複素数の絶対値、複素数の和とベクトルの関係も図を通して確かめます。
第3章「水面に映る星の影」では、共役複素数について学びます。複素数の積、複素数と三角関数の関係、複素数を極形式で表すこと、加法定理の読み方などを通して、複素数のさまざまな性質に触れていきます。
第4章「組み立てペンタゴン」では、正五角形を平面上に描いていきます。方程式を一歩一歩解きながら点の位置を探っていく過程を通して、三角関数と複素数の関係をより深く理解していきます。また、この章の付録では、定規とコンパスによる正五角形の作図を、代数的な意味を確かめつつ学びます。
第5章「三次元の数、四次元の数」では、複素数という「二次元の数」を拡張することを試みます。「三次元の数」や「四次元の数」を作る試行錯誤を通して、交換法則、結合法則、分配法則などの数の法則を再確認します。さらに行列を使って数を表現し、ハミルトンの四元数の構成を行って本書を閉じます。
どの章も、抽象的でなかなか理解しにくい複素数を多数の図版でわかりやすく説明します。また、登場人物の楽しく数学的な対話が、複素数のわかりにくい部分にぴったりと焦点を当て、読者を正しく深い理解に導いていきます。本書は、数学に関心を持ち始めた中学生、複素数に苦手意識を持っている高校生・大学生はもちろんのこと、より進んだ学びを求める読者も楽しめる数学物語です。
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