1~2日で出荷、新刊の場合、発売日以降のお届けになります
機が、凄じい爆音とともに突きさすようにのしかかってくる。為体の知れぬ巨大な昆虫のように見え、頭部から白い閃光が放たれた。かれは、横に走ると突っ伏した。頭の近くで、ブスッという音が連続して起った――
「郷土を渡すな。全員死ぬのだ」
太平洋戦争末期、沖縄戦の直前、中学生にガリ版ずりの招集令状が出された。小柄な14歳の比嘉真一は、だぶだぶの軍服の袖口を折って、ズボンの裾にゲートルを巻き付け、陸軍二等兵として絶望的な祖国の防衛線に参加する。
少年の体験を通して戦場の凄まじい実相を凝視した長篇小説。
実在の人物の体験を、ことこまかに聞きとり、特異な事実をそっくりそのまま写し取った外面的リアリズムが、読む者の胸を強く打つ。
1991年に刊行された文庫本の新装版。元本は、累計102000部のロングセラー。
解説・森史朗
よく利用するジャンルを設定できます。
「+」ボタンからジャンル(検索条件)を絞って検索してください。
表示の並び替えができます。