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ニホンザルの野外研究の歴史は長く、大きな成果を上げてきたが、研究者の主な関心は、サルの暮らしや社会に向けられていた。著者は、宮城県の金華山島で、サルのいる木の下にシカが集まり、サルが落とした葉を食べるというシーンを目撃したことをきっかけに、両者の関係に焦点を当てた研究を始める。そして、シカにとってサルが栄養状態の悪い時期に食べものを提供する存在だという、両者の片利共生関係を明らかにする。著者の興味はさらに、サルと植物の関係、そしてサルと森林環境との関連へと広がる。
本書では、「サルを中心とする生態学」という新分野を確立した著者の20年の研究成果を中心に、フィールド研究の臨場感とともにニホンザル研究の新しい知見を伝える。さらに、猿害や外来種問題、福島第一原発事故の影響など、現代社会における人間とサルの関係についての話題に触れ、サル研究者が果たす役割を考えていく。
野生動物相手の野外研究は成果が出るまでに時間がかかり、成果主義の昨今では敬遠されがちである。研究職のポスト不足もあり、研究者・大学院進学希望者は減少している。本書は、野外調査を積み重ねた若手研究者の成長物語であるとともに、コツコツと続けていれば自ずと道は開けると、研究者の卵たちを勇気づけるエールにもなっている。
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