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お世辞にも上手とは言えない。
けれども、啄木の小説には何かある。
ずっと遠くを見たがっている。
彼の生涯をずっと辿っていくと、途中でせつなくなってくる……年譜を読んでいて、明治43年ぐらいのところにくると、あ、もうちょっとで死ぬ、と、ドキドキしてくる。すでに死んでいる人なのに、なぜかそういう錯覚に陥る……ほんとうに気になる詩人、あるいは歌人、あるいは小説家。この人をどう呼んでいいかわからないけれども、たぶん、日本の近代文学の最も優れた文学精神の持ち主だったと思います。 (右遠俊郎・作家)
《本文訂正》
p.326右から4行目:(一九五九年下半年)→(一九五九年下半期)
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