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◆新詩集
時はゆくが またもどってくる 同じ顔してもどってくる
◆序
少々高い台地のうえに 烏帽子山という山があった
その名のとおりの形をしていたが くたびれて傾き 今にも崩れそうだった
どういうわけか 満月がそのうえをとおると わずかに斜面がへこみ
それを繰り返すうちに 烏帽子のかたちになった
その山麓に 小さな村があった
消防団長が のど飴を頬張りながら 郵便配達に言ったこと
四月から五月にかけて 大満月の頃にそれは起こる
人がものに変わってしまうと水分神社の縁起絵巻にも その様子が画かれ それは何かの約束事とも言われている
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