変革期の大学入試

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出版社
金子書房
著者名
倉元直樹 , 宮本友弘
価格
3,190円(本体2,900円+税)
発行年月
2020年6月
判型
A5
ISBN
9784760861033

2014(平成26)年12月に公表された中教審高大接続答申において入試改革が提唱され,新しい入試制度に至る工程表が示された。その工程表にしたがい,現在,大学や高校では新制度に向けての準備が進められている。2021年度に大学入学を志望する受験生が新制度における初年度の入試を受験することになる。入学志願者の準備に大きな影響を及ぼす変更については,2年程度前までには予告・公表する努力義務が大学に課せられている。しかし,新制度の詳細については詳らかになっていない事項も多い。
 過去にも大きな大学入試制度の改変がなされてきた。戦前の旧制高校の入試制度は終戦に至るまで7回の改定が行われた。入試制度に対する不満が噴出し,そのつど対応策を繰り返した結果とされる。戦後は共通試験に限っても,進学適性検査,能研テスト,共通1次,センター試験と繰り返し導入,改廃が行われてきた。センター試験に代わる大学入学共通テストの導入は,それらに匹敵する大きな時代の転換点となる。
 受験する側,入試を実施する側の双方にとって,制度変更は大きな不安要因とリスク要因として作用する。大学入試制度が大きく変わるとき,高校や大学の現場では果たして何が起こるのだろうか。進路指導を担う高校関係者にとっては,それまでの経験の蓄積だけでは新しい状況に十分対応できなくなるため,新たな対策が求められる。試験を実施する側は,時として大きな入試ミスのリスクを抱えることになる。新制度導入まで1年を切った現在,2021年度入試に向けて高校や大学の現場が考え,備えておくべき事柄は何か。確実な対応策を見出すことは難しいが,少なくとも,我々には過去の経験という貴重な財産がある。本書を通して高校と大学が直面する課題と今後の展望を描くことを試みる。

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