マクロ実証会計研究

マクロ実証会計研究

取り寄せ不可

出版社
日経BPM(日本経済新聞出版本部)
著者名
中野誠 , 吉永裕登
価格
2,970円(本体2,700円+税)
発行年月
2020年6月
判型
四六判
ISBN
9784532135010

◆本書では「マクロ実証会計研究(Macro-Accounting)」と呼ばれる研究を紹介する。「マクロ実証会計研究」では、個別企業の会計情報をそのまま分析せずに、実証分析に入る時にまず平均や合計等の方法で国内の上場企業すべての会計情報をひとまとめに「集約」する。
例えば、国内の上場企業の利益率を平均すれば、それは国内上場企業全体の経営状態を表す情報となる。上場企業の平均利益率が高まれば、それは上場企業の業績が一般に改善していることを示すからである。また、国内の上場企業の利益率の標準偏差を取れば、それは国内上場企業の業績格差を表す情報となる。
このように企業の会計情報を個別に見るのではなく、一国の上場企業を総体としてとらえる情報を作ることで、会計研究者が財務会計の機能としてあまり想定してこなかった使い方もできるようになる。その代表例が、上場企業の会計情報を用いたマクロ経済研究である。

◆近年、このような国内上場企業の会計情報をひとまとめに集約(aggregate)することで、普段我々が生活する上で感じる身近な疑問に取り組む研究が米国を中心に現れている。「国内の代表的な企業である上場企業の業績が改善すれば、国内の景気は改善するのだろうか」「上場企業の業績が改善すれば、従業員や労働者の賃金、失業率は改善するのだろうか」といった疑問に対する研究である。
こうした研究は、本来マクロ経済学の研究の対象になるものであり、企業ごとの会計情報というミクロデータを扱う会計研究者には、なかなか手が出ない領域であった。しかし、個別企業の会計情報をひとまとめに集約することで、上場企業がどのようにマクロ経済と関連し、またマクロ経済を動かしているのかについて、データを用いて分析できるようになる。

◆本書では主に、こうした会計情報とマクロ経済との関係についての研究を取り扱う。「会計はミクロの世界のお話さ」と考えてきた方には、「会計をマクロの視点から考えることもできるし、面白いですよ」とお伝えしたい。新しいジャンルの実証的な財務会計研究を知りたい方は、ぜひ読み進めていただきたい。

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