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本書は、西洋による記述ではなく、カリブ人が書き残したテクストの考察を通して、カリブ地域の人びとが生きたカリブの実像に迫ろうという試みである。一八世紀から二〇世紀まで、多様な地域と言語圏の七人のカリブ出身者を対象として、手紙、自伝、小説、詩が論じられ、それらの背景となるカリブの歴史、文化などが参照される。大航海時代にはじまる西洋中心のグローバル経済の中で、奴隷制や植民地支配の下に置かれたカリブの人びとは、抑圧を生き延び、その歴史の中でグローバル構造に対抗する独自の抵抗の思想と活力を育み、国際的な視野をもって地域の内外で活躍した。小さな島々で産業も発展しにくく、現在もカリブ地域は政治的経済的な困難を抱えていて、海外在住者も多い状況であるが、本書が明らかにする先人たちのカリブ人としての誇りと脈々と築かれた豊かな遺産は、魅力的な地域カリブの今後への展望も与えてくれるように思われる。
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