本書は,AIを用いた意思決定技術に関する実践的指南の書である。
本書の主題は不確定要因が関わる意思決定問題である。不確定性をどのように数量化し,不確定要因が関わる意思決定を可能にするシステムをいかに実装するかという問題は,人と関わって実世界で動作するすべてのAIシステムにおいて重要な問題となっている。近年のAIに関する技術書の多くが,決定論的計算モデルであるディープラーニングに関するものであり,不確定性を扱うために重要な役割を果たす確率論的計算モデルに関する書籍は少ない。しかし,AI技術を現実世界の中で実装するフェーズが進むにつれ,不確定性を扱うAI技術がますます重要になることは間違いない。
本書は前半で理論を解説し,後半で応用例を紹介する。取り上げられている応用例は,監視カメラの映像から有効な情報を取り出すこと,音声や話者を識別すること,航空機の衝突を防ぐこと,ドローンなどの無人航空機によって継続的に情報を得ることなどである。いずれも現実に役立っている具体的なシステムを紹介しており,読者の興味を掻き立てるだろう。また,これらの具体事例を学ぶことによって,読者のまわりにある他の実践的な課題にAIを適用しようという意欲も呼び起こされるだろう。
原著:Decision Making Under Uncertainty: Theory and Application, 2015.
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