本書は、生命保険契約の形態のひとつである「第三者のためにする生命保険契約」について、保険契約者(要約者)・保険者(諾約者)・保険金受取人(受益者)の関係性や権利の法的構造を、保険法と民法との比較を交えて解明するとともに、保険金受取人が取得する保険金請求権の固有権性に焦点を当て、その意義・内容や性質、機能などを多角的な視点から論究するものです。
具体的には、保険契約者と保険金受取人間の対価関係や保険契約者と保険者間の補償関係に係る地位や諸権利についての具体的内容やその処分、また、そこから派生する様々な法律問題(例えば保険金請求権の譲渡・放棄、受取人による介入権や質権設定、契約者や受取人の相続、相続債権者と保険金等々)を取り上げて仔細に検討し、保険金受取人の権利の固有性をめぐる考え方とその在り方を浮き彫りにします。
加えて、保険金請求権に関わる事案の実際と法的な解釈論を、これまでの裁判事例を紐解きながら解説し、更には、フランス、アメリカ、ドイツ、イタリアなど諸外国の法制度を紹介の上、各国の保険金受取人の地位と利害関係者との調整の方法などについて、我が国の制度を踏まえて比較法的に考察しています。
なお本書は、2014年に神奈川大学法学研究所において立ち上げた「保険金請求権の現代的課題に関する研究会」での議論を糧に、錯綜する第三者のためにする生命保険契約における諸問題や課題に対し、会のメンバーが独自に迫り研究した成果を、それぞれの観点から論文に著し、一冊にまとめて刊行するものです。
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