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「人はいかに学ぶのか?」
認知科学の「理論」、10年に及ぶ「授業実践」に裏づけられた「学び」のエビデンスに基づき、この本質的な問いに正対します。
著者は、国研ライブラリー『資質・能力[理論編]』のメイン執筆者の一人・白水始先生
本書は、協調学習の理論と実践を通じて、新しい学習指導要領でも最重要視されている「対話的な学び」をいかに充実すればよいのか、「深い理解」へと導く授業をどうやってデザインすればよいのかをつまびらかにします。
「まえがき」より~
一つの問いにみんなで答えを出そうとする協調学習の場では、対話が考えの違いをもたらし、その違いを一人ひとりが何とかまとめようとして、各自の考えが深まります。
自分で確信をもっていた答えも対話すると壊れてしまう。不安になる。
けれど、対話していくとよりよいアイデアや表現が見えてきて、確信のもてる新しい答えが見つかる。安心できる。
しかし、その答えにもまた、次に問うべき問いが潜んでいることに対話を通して気づいていくので、さらに学び続けていくことができる。
こうやって、自分の考えを「壊して、つくって」深める学びが、小学校1年生から可能です。けれど、その誰もが生まれながらにしてもつ力を、子どもたちがいつも使っているかというと、そうではありません。
その力を引き出す対話の場が適切に用意されていること、さらに、そうした場を日ごろから繰り返し経験していることの二点が必要だからです。もし個人に何らかの「対話力」の多寡があるとすれば、この場数をどれだけ踏んできたかによるでしょう。
対話には、熱中すればするほど、問題に答えを出したり新しいアイデアを思いついたりするのに忙しすぎて、どうやってそれが問題解決やアイデア創生に結びついたかを、当人たちは意識できないというジレンマがあります。「認知科学」と呼ばれる研究分野は、対話を記録にとってつぶさに見直し、一人ひとりがどう考えを深めたのかを分析して仮説をつくってきました。
こうした仮説をもとに「学習科学」という分野が学校内外での人々の学習を支援し、その実践をもとに仮説を理論へと高めていこうとしています。
「協調学習」は対話の仕組みを学びに結びつけたものであり、その実現のための一つの手段が、本書で紹介する「知識構成型ジグソー法」です。
第1章ではその授業例を一つ紹介し、第2章では対話で人の考えが変わる仕組みを検討します。
第3章では「知識構成型ジグソー法」で授業がどう変わり、子どもがいかに学ぶか第4章ではそれをどう評価することができるかを学びの深さとも絡めて論じます。
第5章では授業づくりからの先生の学び、第6章では自治体と研究者の学び、そして第7章では教育の未来について見えてきたことについて語ります。
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