ミャンマー/日本企業の最後のフロンティア

ミャンマー/日本企業の最後のフロンティア

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出版社
新評論
著者名
関満博 , 姜雪潔 , 吉井啓人 , 岡明宏
価格
4,950円(本体4,500円+税)
発行年月
2020年5月
判型
A5
ISBN
9784794811509

私がアジアの地域産業の「現場」を初めて訪れたのは1987年、訪問先は中国上海であった。以来、中国各地のほかモンゴルやベトナムへの訪問を重ねるなかで、近年は特に東アジアの「最後のフロンティア」とされるミャンマーを意識するようになっていた。ここでいうフロンティアとは、単に低賃金や新市場への期待を指すものではない。成熟化のなかで、進出先の国の置かれている経済・社会的事情を尊重しつつ、技術移転や雇用創出、地域化を通じて、互いに産業化と豊かさを実現していくような進出が求められている。
 ミャンマーに対する私の当初の印象は、子供の頃に観た映画『ビルマの竪琴』の世界、穏やかで豊かな人びとの暮らす地域といったものだった。だがやがて、この国が戦後の独立から社会主義化、軍事政権へと続く50年にわたり鎖国状態にあり、疲弊していることを知る。そしてここ数年で実際に訪れた「現場」では、意外な体験の連続だった。2011年の民政移管以降、市場経済がかなり浸透しており、先行するASEAN諸国を意識しつつ多様な輸入代替に踏み出していた。
 外資の進出も民政化後に活発化する。低賃金労働力を求めての輸出拠点形成型の進出から、金融・物流等サービス部門の進出、さらにミャンマー国内市場を意識した進出までが一斉に始まった。これは従来のアジア・中国進出の歩みとは全く異なる。その要因はミャンマーが「最後のフロンティア」として期待されていること、各国企業がこれまでの経験を活かし、トータルな展開を促していることにあろう。
 一方、国内のローカル企業も事業意識を高めており、各国への留学から戻った若者たちが新たな事業化に取り組んでもいる。外資企業の進出が雇用機会の拡大を促し、ミャンマーの人びとが「仕事」への意識や意欲を高めている面がある。
 2015年から準備を始め、19年9月までにローカル企業28社、日系を中心とした外資企業22社、計50社を訪問することができた。いずれの企業も新たな可能性を模索していた。本書では「最後のフロンティア」として俄然注目を浴びるミャンマーについて、ローカル企業の動向と外資企業の進出状況、同国の発展の構造的な意味と今後の可能性、日本企業の進むべき道などを論じる。(せき・みつひろ)

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