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「一帯一路」構想に顕著なように、国家としての中国を中心に、政治的・経済的に統合しようとする側面がある一方で、台湾が東南アジアとの結びつきを強めることで台湾独自の「中華」を志向するなど、分裂が際立つ側面もある。雲南省の回族の歴史を振り返ると、中国内部で中国との距離の取り方を模索する様子がみえ、香港・台湾・マレーシアなどへと拡大していく「華語語系文学」の議論からは、中華世界の統合に近づいたり分裂に傾いたりする様子がわかる。華僑華人のネットワークも、一方では中国の故郷と深く結びつく統合の側面があり、一方では居住地をハブとして故郷からさらに遠くへと拡散してゆく側面もある。
「中華世界」とはなにか。本書はその輪郭を描くものである。
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